骨粗しょう症では、一般に治療よりも予防が有効です。失われてしまった骨密度を回復するよりも、骨密度の低下を防ぐ方が容易なのです。骨粗しょう症を予防するには、適量のカルシウムやビタミンDを摂取したりするなどの方法で、骨密度の維持や増加を図ります。
骨を作る成分であるカルシウムとコラーゲンを補給できる食材を取り、適度な運動をしてカルシウムやコラーゲンが吸収されやすいように努力する必要があります。特に骨粗しょう症は、もともと女性のほうがかかりやすい病気と言われていますので、若いうちから意識してカルシウム等を多く含む食材をとるように心掛けましょう。
特にカルシウム等を含む食材として「乳製品」「緑黄色野菜」「干しシイタケ」「大豆」「フカヒレ」のようなものがあげられます。カルシウムを豊富に含むのは、牛乳やヨーグルト等の乳製品です。体への吸収を考えると、乳酸カルシウムという吸収のよいタイプが含まれる乳製品のほうがより効率的です。
小松菜や大根の葉、チンゲンサイ等の緑黄色野菜には、多量のカルシウムが含まれています。カルシウムの吸収と骨への沈着を促すのが、ビタミンDです。シイタケは、中に含まれるエリゴステロールという成分が日光に当ることで、ビタミンDに変わります。シイタケそのままでも体によいものですが、ビタミンDの摂取を目的とするなら干しシイタケのほうがより効果的です。女性ホルモンは骨からのカルシウムの流出をくい止めます。これに似た働きをするのが大豆や大豆製品に含まれるイソフラボンです。
最後に、軟骨部分の組成には、コラーゲンという繊維状のタンパク質が必要です。これを含むのがフカヒレやサメの軟骨、手羽先等です。このような食材をうまく使って、毎日の食事を取るように心がけましょう。
骨粗しょう症を予防する重要な要素のひとつが、適切な運動です。それではどんなことに気をつけて、どんなふうに動かせばいいのでしょうか。骨は人の身体の運動や体重を支えるのに必要な量や形態、強度が確保されるようになっています。つまり骨に大きい力(「押す」「引っぱる」「曲げる」「ねじる」等)を加えると、それに対応して骨量は増加するという仕組みになっています。
同時に運動で血行がよくなることで骨内の血流も増加し、骨形成も促進されます。もちろん適度な運動が、骨だけでなく心身の健康にも大きく貢献することはいうまでもありません。逆にいえば、重力が取り除かれたり運動量が極端に少ないと、骨に対する刺激が減少するため、骨量低下が起こります。
たとえば宇宙飛行による無重力状態や、寝たきりの状態が長く続くと、急激に骨量は減少してしまうのです。 骨粗しょう症の予防にはカルシウムなど食生活を見直すことのほかにも運動することが挙げられます。何故、運動が骨粗しょう症の予防によいのでしょうか?それは運動することで骨が強くなるからです。
ただし、過度の運動は逆効果です。骨密度の低下防止にとくに有効な運動は、ウォーキング、ジョギング、エアロビクスなどです。毎日約30分~1時間程度続けることが大切です。また日常生活のなかで階段の上り下りや散歩などを取り入れ、運動量を増やすだけでも効果があります。十分な栄養とカルシウムを取り、日光を浴びながらウォーキングやエアロビクスをすることで骨にも健康を取り戻しましょう。
日光に含まれている紫外線は、皮膚の下でビタミンDを作ってくれるだけでなく、細菌を殺す効果や体の免疫力を高める効果のあるなど人の体にとって大変役立っていることが知られています。
一方で、余りにも強い紫外線を浴びてしまうと、皮膚に炎症を起こし、炎症が治まる際には色素沈着を生じ、また炎症のために細胞が分裂増加する際に誤ってがん細胞を作ってしまうことがあります。このように日光浴の有用性よりも有害性のほうがインパクトが強いですが、日光による皮膚がんの発生率はごく僅かです。
それに比べて骨折予防・病気予防など日光による健康維持・増進効果は著しく、日光浴の機会を少なくする必要なあまりないでしょう。とはいえ「白い肌を保ちたい」、「皮膚がんの危険性を少しでも少なくしたい」と考えておられる人もいますので、それらの人はUVカットクリームを塗って黒い長袖、黒い日傘がおすすめです。これらを使うことによって紫外線は相当カットされます。
女性の50%はビタミンD不足であるといったデータがありますが、それにはUVカットクリームも関係しています。また、冬にビタミンD不足が目立つなどが分かっています。ところが、1日に必要なビタミンDの量は100単位とされていますので、その程度のビタミンDを皮膚で作るには両方の耳を3時間ほど太陽に当てるだけで十分で、夏ならば木陰で30分、冬なら手と顔に1時間も太陽をあてれば十分です。
短い時間の日光浴でもビタミンD産生に効果がありますが、日光浴の代わりにサバ、イワシなど背の青い魚を食べることによってもビタミンDは補えます。
骨粗しょう症と寝たきりはイコールではなく、合併症である大腿骨頸部骨折のために大腿骨の付根が折れてしまって、体重が支え切れなくなり、寝たきりになってしまうということがあります。それは紛れもない事実ですが、最近では骨粗しょう症による大腿骨頸部骨折は早めに手術して、早期リハビリテーションをすれば、寝たきりにならなくて済む確率が高くなるということがわかってきています。
ですから、なるべく早く整形外科で適切な処置を受けるべきなのですが、高齢の方の場合、骨粗しょう症ばかりでなく高血圧や糖尿病などの他の余病があったりして、手術したくてもできないという場合も少なからずあります。まず転ばないことが寝たきり予防の第一と考えていただきたいと思います。日頃から転ばないために部屋の整理整頓、ふだんからの体づくりと歩き方の工夫を行っていくことは大切なことです。しかし、予期しないところで転ぶことがあります。
いつも何気なく歩いていた道路がすべりやすかったり、段差ができていたり、立って乗っていたバスや電車が急発進・急停車したりと、色々な転びやすい状況があります。このような時にとっさに何かにつかまって体を支えたり、倒れないように足を引いたり、普段から体を動かす習慣を持っていればうまく回避することができることも多いでしょう。
また、どうしても転んでしまう時には無理な形でこらえるよりも自分の意志でじょうずに転ぶことも必要です。転ばないための工夫や注意も必要ですが、じょうずに転ぶことを頭の中で描くことも大切といえるでしょう。
すべての栄養素を食事から摂取するということは、摂取カロリーの面からも無理があります。アメリカでは、マルチビタミンを中心にして、自分に不足しているサプリメントをそれぞれ補うという方法が一般的です。
また、アメリカにおいてマルチビタミンの他に摂る栄養素として基本的なものは、カルシウム、亜鉛、ビタミンCサプリメント、ビタミンB、ビタミンEというものが多いようです。 現在では、コンビニや薬局で手軽に様々な種類のサプリメントが手に入ります。特に骨粗しょう症は、主に妊娠・授乳などにより、女性に多くみられる病気です。日頃から食事以外にもサプリメントで自分に不足している栄養素を補い、骨粗しょう症の予防に努めましょう。
ではどのような栄養素を補えば骨粗しょう症は予防できるのでしょうか。骨粗しょう症の予防と改善は、カルシウムだけではできません。カルシウムは、吸収されて骨として再石灰化される必要がありますので、様々な栄養素が必要になるのです。
まず骨が造られるには、様々な過程があり、その過程で必要になるものも多いのです。骨粗しょう症といいますと、すぐにカルシウムという言葉が浮かびます。しかし骨粗しょう症を防ぐには、実際にはマグネシウムの存在の方が重要といわれています。その他、骨の材料にはミネラルも多く、マンガンやセレン、ホウ素、銅などは必須です。また、骨に弾力性を持たすためには、コラーゲンが使われます。シリカ(ケイ素)やMSMは、コラーゲンを造るのに必要なミネラルで、弾力に富み、骨折し難い骨を作るためには必須といえるでしょう。
骨粗しょう症を予防するにあたり、「吸収」や「再石灰化」ということを考えると、本当に様々な栄養素の助けが必要です。造骨細胞の細胞分裂を活発にして、キチンと骨を作ってもらうためには、ビタミンCやビタミンD、ビタミンK、亜鉛などが必要です。
どんな人でも、年齢を重ねると多かれ少なかれ骨が弱くなってきます。その意味で、加齢は骨粗しょう症をひき起こす要因のひとつといえます。しかし、それほど高齢ではなくても簡単に骨折したり、お年寄りでもとても骨が頑丈な人がいたりするように、その背景には若いころからの生活習慣が深く関わっています。
とくにタバコ、アルコール、コーヒーなどといったいわゆる嗜好品は骨の強度を弱めてしまいます。まずタバコは、喫煙する人と、喫煙しない人とでは、骨量に大きな差があることがわかっています。女性の場合、閉経まで毎日タバコを1箱吸うと、5~10%骨量が低下したデーターもあるそうです。また、年齢に関係なく、 若い女性でも、タバコを吸わない人に比べると、骨量が低いそうです。
次にアルコールですが、大量にアルコールを飲む人の骨量を調べてみると、骨量が低いそうです。 これは極端なケースですが、何も食べない(栄養が低い状態)で、アルコールばかり飲んでいる人に多いようです。「お酒は百薬の長」といいますが、 これでは身体のためになりません。アルコールは適量で、できればカルシウムが多く含まれる食材をつかった料理を、一緒に食べるようにしてはいかがでしょう。
最後にコーヒーなどに含まれるカフェインは、1日あたりのカルシウム摂取量が十分であれば、カフェインの影響はないようです。 ただし、カフェインが含まれる飲み物を大量に飲むと、カルシウムは尿の中に排出されます。
将来の自分の身体のことを考えると、これら嗜好品(タバコ・アルコール・コーヒー)を摂取する人で、どうしてもやめられない場合は、余分にカルシウムを摂取したり、 骨に負荷を与える運動(歩くことなど)を、お日様の下で毎日行い、骨量を高めるようにしてはいかがでしょう。
