骨粗しょう症」、骨量が減って骨がスカスカ状態でもろくなり、痛みや骨折を引き起こす病気です。日本医師会によると、わが国の骨粗しょう症の患者は、約1000万人と推定され、今後高齢化社会に伴なって、ますます増加していく傾向にあります。
骨量が低下する原因は、加齢、運動不足、喫煙、過度のアルコール摂取、食生活の乱れ、ストレス、特に女性の場合は、女性ホルモンのエストロゲンが減少すると骨量が減少することが知られています。骨粗しょう症は、60歳以上の女性に多くなり、お年寄りの病気というイメージが強いのですが、実は若い人でも油断はできません。
骨粗しょう症予備軍という、骨粗しょう症になる危険性の高い人も多いと懸念されています。20歳前後の女子学生の6人に1人は、骨密度が低く、50歳並みという結果も出ています。さらに低年層でも骨密度がかなり低い人がおり、骨粗しょう症の予備軍が低年齢層にも広がっていることも分かっています。
骨密度が低下している若い人たちは、運動不足や睡眠不足、ストレスを感じているなどの生活習慣の問題、スナック菓子やお菓子、ファーストフード、インスタント食品が好き、野菜や海草嫌い、欠食、ほっそりしているなどの傾向が浮かんできます。
特に、若い女性に多く見られる過度のダイエットや偏食による栄養不足、また不規則な生活やストレスは、女性ホルモンのバランスが崩れることが原因と指摘されています。また、小中学生にも偏食や運動不足の傾向が見られます。10代は、骨をどんどん作っていかなければならない時期です。
また20~40代は一生で骨量が一番多くなり、それを減らさないように維持しなければならない時期です。その時期に、骨に必要なカルシウムが十分摂取できないばかりか、極端なダイエットのせいでホルモンのバランスを崩すようなことがあれば、若くても骨粗しょう症や骨粗しょう症予備軍になる危険性が高まります。
骨粗しょう症は遺伝するのか?という疑問が多いようですが、家庭での食生活の中で、乳製品を摂る機会が少なかったり、魚をあまり食べないなどの小さい頃からの食習慣があると家族全体が骨量低下しているという事もあるようです。
このような場合は、遺伝子は関係していないので、生活習慣を改善する事で骨粗しょう症を予防できます。しかし、中にはごくまれに、生まれつき骨密度が少なかったり、骨にカルシウムがつきにくい家系などがあり、この場合は遺伝する可能性もあります。
骨についてもビタミンD受容体の遺伝子多型やコラーゲン遺伝子の多型の分析などいろいろな研究が行われていますが、まだ結論やこれで大丈夫といった画期的検査法といったものはでていないのが現状です。
ただ、確実にいえることは、母親に骨粗しょう症の症状あり、母方の親族に骨粗しょう症による骨折があるという人は、かなり骨粗しょう症の頻度が高くなるということです。そういう人は、なるべく早めに骨量を測定して、自分の骨の状態を知っておくことが大切ですし、場合によっては早期治療の必要もあります。
骨の丈夫さにおいても、遺伝的要素も影響するといわれていますが、実際に骨粗しょう症になるかは、すべて遺伝的要素によるわけではありません。骨代謝を活発にできる遺伝子を持っていても、食事で取り込むカルシウムが少なかったり、骨代謝を妨げる生活習慣を続けていれば発症する可能性があるからです。
骨粗しょう症の割合に女性が多い原因に妊娠、出産が挙げられます。これは、赤ちゃんの骨は母体から提供されるためです。 つまり、お母さんの体の中のカルシウムから提供されます。赤ちゃんは、体作り(骨格)の為、容赦なく母体からカルシウムを吸い取っていきます。
しかし、カルシウムも取られっぱなしでは母体も危険ですから、女性ホルモンのひとつである大量のエストロゲンが放出されて、骨の流出を抑制してるのです。つまり女性は、まさに骨身をけずって赤ちゃんにあたえているのです。このエストロゲンが分泌されないと、骨からカルシウムが血液中にどんどん流出してしまうのです。
さらに出産直後の半年は、卵巣がお休みしているので女性ホルモンの分泌は極端に低下しています。 つまり更年期と同じになってしまいます。エストロゲンの分泌は、20~30歳代をピークとして徐々に減っていき、更年期に至ると急激に減少してしまいます。
更年期といわれる40代半ばから50代半ばまでのおよそ10年間は、エストロゲンの急激な減少を原因として、更年期障害が引き起こされます。エストロゲンが減少し、やがて分泌しなくなるのは、もう妊娠・出産しなくても良い時期になったということでもあります。昔は平均寿命も短かったので、このころにはほとんどの女性が亡くなっていたのです。
ところが現在では、平均寿命が大幅に延びて、妊娠・出産後も何十年と人生を過ごせるようになってきました。こうなると、いままで問題にならなかった更年期障害や骨粗しょう症などで悩み、苦しむ女性が増えてきてしまったのです。なんとも皮肉なものですが、最近は女性ホルモンの減少を補うホルモン補充療法で、骨量の減少を食い止めることができるようになりました。
だからといって、やみくもにホルモン補充療法を行えばよいかというとそういうものではありません。女性であることで必ず骨粗しょう症になるというわけでもありませんし、 最近の研究では、他の原因として遺伝的な因子もありそうだということがわかってきました。ホルモン補充療法は、骨量の減少が著しく、産婦人科医によって、ホルモン補充療法をすすめられた場合にのみ実施すべきです。
骨粗しょう症とは、骨がスカスカになり、骨折しやすくなる病気のことです。しかも、骨全体が弱まって骨折してしまうため、完治までに非常に時間がかかります。骨折が原因で日常生活行動(ADL)の低下、さらには寝たきりになってしまうことが、大きな問題となっています。
日本における高齢者の寝たきり原因の第2位は、「骨粗しょう症による骨折」なのです。 骨折による寝たきりや痴呆を防ぎ、老後を明るく楽しく過ごすためにも、骨粗しょう症を防ぐことが大切です。
高齢者が骨折した場合、手術はかわいそうだと手術がなされなかったり、手術後にリハビリが行われなかったりすることがしばしばあります。高齢者の骨折が治らないほんとうの問題は、そのまま寝かせておいて、すでにあった他の糖尿病や高血圧症など病気の状態が悪化することにあります。
脊椎の骨折を起こした場合には安静にしておき、その後、早期に離床することによって治すことができます。足を骨折した場合でも、手術をした後に、早いうちからリハビリテーションを行うことで、退院して再び歩くことができるようになります。そのため骨折を起こした後の対処方法で、高齢者でも骨折は治るのです。
骨密度は、適切な治療によって少しずつ回復しますが、健康な骨になるまでは長期間を要します。途中で治療を中断してしまっては、骨折防止という治療の目的を達成することができません。だからといって、「一生治らない病気」と重く受け止めるのではなく、「大きな骨折をする前に見つかってよかった」と考えて、治療を継続しましょう。
骨粗しょう症を引き起こしやすい病気があり、その病気のために骨粗しょう症になりやすい場合があります。今現在わずらっている病気や薬が骨に影響を及ぼすか知っておく必要があります。ここではいくつかの病気を取り上げます。
まず婦人科系の病気では、病気で卵巣を摘出していたり、性腺の異常機能で、無月経などがあげられます。女性ホルモンが欠乏すると、カルシウムを摂っても骨が形成できず、骨が弱くなり、骨粗しょう症を引き起こしやすくなります。また、慢性関節リウマチも炎症の強い部位近くで骨量が著しく減少する傾向があり、骨粗しょう症になりやすい病気です。
副甲状腺機能亢進症は、副甲状腺ホルモンが過剰に作られることにより、骨のカルシウムが削られ血液中のカルシウムが増加します。その結果、骨のカルシウムが減り、骨量が減少します。 その他にも、甲状腺機能亢進症に代表されるバセドウ病や合併症の一つとして骨量の減少が見られる糖尿病も骨粗しょう症を引き起こしやすい病気です。
腎臓病は、肝臓や腎臓に障害があると、栄養が吸収されにくく、カルシウムやビタミンDが不足しがちになり、胃腸病は手術で胃を切ったり胃腸病を患っていると、カルシウムの吸収が悪くなり、カルシウムを摂っても骨が形成できず、骨が弱くなり、骨粗しょう症を引き起こしやすくなります。。
しかし病気の時、安静にすることは大事ですが、安静にしすぎると骨に負荷がかからず、骨を弱くすることがあります。つまり極端な安静のしすぎは逆効果となってしまうのです。
骨粗しょう症は、若い頃に無理なダイエットをしたり、子供の頃から、「運動嫌い」だったような人が、発症する可能性が非常に高いといえます。20代の思春期と呼ばれる時期に、どのような食生活を送っていたのかが、将来に多大なる影響を与える可能性があります。骨粗しょう症という病気は、若い頃にどれだけカルシウムを積極的に摂取してきたかが非常に大切なのです。
カルシウムは普通、1日600㎎摂取するようにしなければなりません。しかし、若い20代の女性達は、1日600㎎どころか、半分程度も摂取できていない場合もあります。この年代の女性に特徴的なスリムになりたいという切実なる願いから、無理なダイエットをする傾向があります。しかし、この無理なダイエットにより、大変なことになる可能性があることを考えなければいけません。
女性にとって、とても大切な生理に影響する場合があります。それは子供が産めなくなってしまうかもしれないということです。女性の体は、初潮を迎えてから、毎月生理が来るようになりますが、無理なダイエットをすると、体が栄養失調の状態になり、負担が著しく大きい生理を止めてしまう場合があるのです。
さらに生理が止まるということは、女性ホルモンの分泌がうまくいかなくなるということであり、この女性ホルモンは、骨からカルシウムが溶け出してしまうのを防ぐ働きがあります。したがって、女性にとって無理なダイエットをするということは、体をボロボロにしてしまう行為なのです。
無理なダイエットが影響して、まだ20代なのに、骨量は、60代の閉経後の女性よりも少ない女性が増えているという事実も存在します。若い女性が、無理なダイエットをして、痩せることが出来れば、良かったと思い、そのときは大喜びするかもしれません。
しかし、その裏では、骨量が低下し、骨折するかもしれない危険性が非常に高くなっているということも考えておかなければならない。無理なダイエットは、女性ホルモンの減少をもたらし、女性ホルモンの働きが悪くなることにより、骨の健康にもマイナスになるので、ダイエットはむやみやたらにすべきではありません。どうしても、ダイエットをしなければならない場合は、専門のお医者さんに相談して行うべきでしょう。